【実績なしでも大丈夫?】数字のマジックであなたのビジネスの見せ方を変える方法(消費者が知っておくべきからくりも解説)

ビジネスにおいて、自分の実績をいかに魅力的に見せるかは非常に重要です。特に、まだ大きな実績がないうちは、その「見せ方」の工夫が大きな鍵となります。しかし、ここで絶対にやってはいけないのが「嘘をつく」ことです。ありもしない実績を作り上げたり、お客様の声を偽造したりするのは論外です。

では、嘘をつかずに、しかし実績をより大きく、魅力的に見せるにはどうすれば良いのでしょうか? その一つの方法として、**「数字のマジック」**あるいは「数字のトリック」と呼ばれるテクニックがあります。これは、同じ事実であっても表現方法を変えることで、受け取り手の感じ方を全く違うものにするというものです。マーケティングが上手な人は、この数字のマジックを上手に使いこなしています。

実績がない時にこそ知っておきたい「数字のマジック」とは

この「数字のマジック」とは、数字の単位を変えたり、切り取り方を変えたりすることで、本来の価値や規模感をより大きく見せるテクニックです。

例えば、有名な例としては「タイリン1000mg配合」という表現があります。これを「タイリン1g配合」と言われたら、あまり大したことないように感じるかもしれません。しかし、1000mgと言われると、なんだかたくさん入っているような印象を受けます。内容は全く同じ「1グラム」であるにも関わらず、単位を変えるだけでこれほどまでに感じ方が変わるのです。

このように、数字のマジックは**「嘘ではないけれども、表現が変わる」**ことで、同じ実績でも感じ方が大きく変わる、いわば数字の妙、トリックのようなものです。特に実績があまりない時期には、自分の持っている実績をできる限り大きく見てもらうために、このような工夫が役立ちます。

ビジネスでよく使われる「数字のマジック」具体例

では、具体的にどのような「数字のマジック」がビジネスの世界で使われているのでしょうか。音声ソースでは、いくつかの例が挙げられています。

  • 問い合わせ件数 「これまで1000件以上もらいました」という問い合わせ実績を、「1000人以上のお客様の相談に乗ってきました」と言い換えることができます。これも嘘ではありません。しかし、その「相談に乗った」という中には、もしかするとメールが1件来ただけ、というものも含まれているかもしれません。厳密な人数を把握しているわけではなく、ある程度ざっくりとカウントしている可能性もあります。ほんの少しのやり取りでも「相談に乗った」としてカウントされている可能性があるわけです。
  • 売上 「年商1億円です」といった売上に関しても、注意が必要です。その売上が「個人としての売上」なのか「会社としての売上」なのか、あるいは「会社員時代の売上」を個人実績としてカウントしているのか、といった違いがあるからです。会社の看板や知名度、チームでの取り組み、豊富なリソースや広告費など、会社であれば個人だけでは得られない要因が多々あります。そのような背景で出した売上を「自分の個人実績」として語ることも可能ですが、それは厳密には会社の実績であり、個人の手柄とは異なります。
  • クライアントの売上 「クライアントの売上が10億円です」という表現もよく使われます。これは、自分がコンサルタントなどとしてサポートした結果、クライアントの売上が10億円になった、という意味で使われることもありますが、実際には**「単に自分のクライアントになった相手の企業が、もともと年商10億円だった」**というケースも含まれます。自分がサポートしたことによって売上が伸びたわけではなくても、クライアントが10億円を売り上げているのは事実なので、これも「嘘ではない」表現となります。しかし、自分の直接的な貢献による実績とは意味合いが異なります。
  • ブログのPV数 「ブログ100万PVです」と聞くと、すごいアクセスがあるブログだと感じます。しかし、これも「月間100万PV」なのか「通算100万PV」なのかで大きく意味が変わってきます。何年もブログを書き続けていれば、月々のアクセス数がそれほど多くなくても、通算のPV数が100万を超えることは十分にあり得ます。これも「通算」である限り嘘ではありませんが、「月間」と混同してしまうと実態を見誤ることになります。

これらの例に見られるように、数字のマジックは、事実そのものを変えるのではなく、その「見せ方」や「言い方」を工夫することで、受け取り手の印象を操作するテクニックなのです。決して相手を「騙し」ているわけではない と言えますが、見る側がそのからくりを知らないと、実態を正しく見極められない可能性があります。

これらの「数字のマジック」は嘘ではないが…

前述のように、これらの数字の表現は厳密には嘘ではありません。例えば、「何億円売り上げた」という事実があっても、それが個人だけの力ではなく、会社の看板やチームワーク、会社の資金など、様々な要因が組み合わさった結果である可能性が高いわけです。だからこそ、情報を受け取る側は、**「本当にそうなのかな?」**という視点を持って、その数字の背景にあるものをしっかりと見極める必要があります。そうしないと、情報の見極めを誤ってしまうことになりかねません。特にインターネットの世界には、こうした数字を強調する人がたくさんいます。

自分自身が「数字のマジック」を使う上での注意点

このような数字のマジックは、自分の実績を効果的に見せるための強力なツールとなり得ます。マーケティングが上手になるためにも、その存在や活用方法を知っておくことは有益です。しかし、自分自身がこれを使う場合には、いくつか注意すべき点があります。

まず、あまりに露骨にやりすぎるのは逆効果となる可能性があります。その数字の裏側やからくりを相手に知られてしまった時、「この人、大したことないのかな?」と思われてしまったり、「浅い人だ」と判断されてしまったりするリスクがあるからです。

また、媒体によって言っている数字が違ったりすると、辻褄が合わなくなり、発言自体が嘘臭くなってしまいます。こうなると、逆に信用を大きく失ってしまうという大きなデメリットになりかねません。正直に言わなかったがゆえに、一気に信頼を失ってしまう可能性もゼロではありません。

最も大切なのは、こうした数字のテクニックに頼りすぎるのではなく、**「自分という人間そのものを信頼してもらうこと」**です。この人の言うことなら嘘ではない、誠実で正直な人だ、と思ってもらえる状態になってから語られる数字であれば、相手も納得しやすくなります。

実績がない状態からでも成果を出すために

では、まだ目立った実績がない場合はどうすれば良いのでしょうか? 音声ソースでは、実績がないからといって売上が作れないわけではない、と述べられています。実績がないなら、ないなりにどうやったら実績を作れるか、あるいは実績がない状態でもどうやったら売れるのか、といったことを「知恵を絞って考える」ことが、ビジネスの上手な人がやることです。

今回ご紹介した数字のマジックは、そうした工夫の中の**「一つの手段」**として捉えるべきです。こればかりに頼るのではなく、あくまで表現方法の一つとして上手に使い分けることが重要になります。

まとめ

ビジネスにおける「数字のマジック」は、嘘をつかずに実績を効果的に見せるための強力なマーケティング手法です。単位を変えたり、切り取り方を変えたりすることで、同じ事実でも受け取り手の印象を大きく変えることができます。

しかし、情報を受け取る側としては、その数字の背景にある「からくり」を知っておくことで、情報の真偽や実態を正しく見極めることができます。

そして、自分自身がこのテクニックを使う際には、やりすぎるとかえって信用を失うリスクがあることを理解しておく必要があります。最も大切なのは、小手先のテクニックではなく、人間としての誠実さや信頼である。

実績がない時でも、知恵を絞って工夫を凝らすことで道は開けます。数字のマジックは、その工夫の一つとして、上手に活用していきましょう。