【マーケティング戦略】冒頭のフックは諸刃の剣?本当に重要なのはエンゲージメントを高めること

「フック」という言葉、マーケティングを勉強しているとよく耳にするのではないでしょうか? まるで魚を釣り上げるように、最初に相手の注意を引きつけるための工夫のことです。冒頭の10秒から15秒で魅力的なフックを入れることで、人々の短い注意力を惹きつけ、離脱を防ぐという考え方があります。

しかし、ちょっと待ってください。本当にどんなコンテンツにもフックが必要なのでしょうか? 僕はむしろ、フックを使わないことの方が多いんです。それでも、聞いてくれる人はちゃんと聞いてくれます。

フックは新規顧客向け?信頼関係のある顧客には不要

なぜフックが必要だと言われるのか? それは基本的に、新規の見込み客に向けて情報を発信するという前提で考えられているからです。まだあなたのことを知らない人に興味を持ってもらうために、冒頭でインパクトを与える必要がある、というわけですね。

しかし、既存の見込み客や、すでにあなたに信頼を寄せているファンはどうでしょうか? そういった方々は、最初からあなたの話を聞くつもりでいてくれます。ですから、無理に奇をてらったフックで気を引く必要はないんです。むしろ、そういった信頼関係のある方を大切にすることこそが、将来的な顧客やファンにつながる重要な要素となります。

フックの落とし穴:期待値のコントロールとエンゲージメント

キャッチーなフックで多くの人の目に留まったとしても、一度きりの関係で終わってしまっては意味がありません。広告収入で成り立つYouTuberならそれでも良いかもしれませんが、私たちのように商品販売を目的とする場合、継続的な関係性が不可欠です。

ここで注意したいのが、フックがもたらす期待値の問題です。YouTubeの過激なサムネイルを想像してみてください。「まさか〇〇がヤバすぎた!」といった煽り文句でクリックを誘っても、実際の内容が伴っていなければどうなるでしょうか? 見る人の期待値は上がり、結果として**「なんだ、大したことない」とがっかりさせてしまい、信用を失ってしまう**可能性があります。

冒頭で注意を引くことは確かに大切ですが、それ以上に重要なのがエンゲージメントです。たとえ最初の15秒でフックが成功し、聞いてもらえたとしても、その後の内容がつまらなければ、すぐに離脱されてしまいます。最後まで聞いてもらう、つまりエンゲージメントを高めることこそが、コンテンツの本質的な価値なのです。

期待値を過度に上げてしまうようなフックは、エンゲージメントを下げるだけでなく、信頼も損なう危険性があることを覚えておきましょう。

フックは「ここぞ」という時に使うべき

最近では、冒頭で芝居のような演出をするなど、フックがテンプレート化している傾向があります。しかし、見込み客もそういった手法に慣れてきており、効果は薄れてきています。毎回同じようなフックを使うことは、自ら見込み客に免疫をつけているようなものだと考えるべきでしょう。

フックは、本当に伝えたいメッセージがある時や、どうしても聞いてもらいたい場合に限定して使うのが効果的です。セールスレターのように、一発で相手の興味を引きつけ、読んでもらわなければならない場面では、効果的なキャッチコピー、つまりフックが重要になります。

しかし、日々の情報発信で毎回フックを入れる必要はありません。むしろ、相手をうんざりさせてしまう可能性もあります。フックは使いどころが重要なのです

冒頭で避けるべきこと:ストレスを与えない

フックを入れるかどうかよりも、冒頭でストレスを与えないことの方が重要です。例えば、最初の数秒の話がつまらなかったり、いきなり宣伝から始まったり、音量が小さすぎたり大きすぎたり、無駄に長いイントロが流れたりすると、それだけで離脱につながってしまいます。

私自身のポッドキャストでも、以前は「こんにちは、アポロです。今日は〇〇についてお話します」という導入をしていましたが、最近はそれを省きました。タイトルを見れば話す内容はわかると思ったからです。いきなり本題に入ることで、無駄なストレスを減らし、リスナーの興味を 惹きつけられるのではないかと考えています。実際、導入を変えてからYouTubeのポッドキャストのエピソードのリテンションレートが良いという結果も出ています。

まとめ:フックに頼らず、本質的な価値で繋がろう

フックは、新規顧客の注意を引くための有効な手段の一つですが、万能ではありません。信頼関係のある顧客には不要であり、過度なフックは期待外れによる信用低下や、エンゲージメントの低下を招く可能性があります。

本当に重要なのは、質の高いコンテンツを提供し、リスナーや視聴者とのエンゲージメントを深めることです。フックのタイミングや使い方を慎重に見極め、「ここぞ」という時に効果的に活用しましょう。そして何よりも、冒頭で無用なストレスを与えないように心がけ、本質的な価値で人々と繋がっていくことを意識しましょう。