DRMだけでは限界?顧客の購買タイミングに合わせた新しい販売戦略

オンラインでの商品販売やマーケティングにおいて、「DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。日本国内では「最強のマーケティング手法」と言われることもあり、多くの実践者や推奨者がいます。

しかし、このDRMという強力な手法も、使い方を間違えると逆効果になり、「売れない」状況を生み出してしまう可能性があります。今回は、ソースで語られている内容をもとに、DRMの特性を踏まえつつ、顧客の「欲しい」という購買タイミングを捉え、売上機会を逃さないための販売戦略について考えていきます。

DRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)とは?

まず、DRMとは何か、改めて確認しておきましょう。DRMは「Direct Response Marketing」の略で、直訳すると「直接反応させるマーケティング」または「すぐに反応させるマーケティング」を指します。

特定の行動(商品購入やメールリストへの登録など)を相手に促すことを目的としており、そのために多少強引なやり方や心理的なテクニックを用いることもあります。例えば、「〇日間限定セール」「〇名様限定特典」といった限定性を持たせたプロモーションは、すぐに購入を決断してもらうための典型的なDRMの手法と言えるでしょう。

混同されがちな「リストマーケティング」との違い

DRMとリストマーケティングを同じものだと捉えている方もいるようですが、これらはイコールではありません。リストマーケティングは「リストを取るマーケティング」であり、コンテンツマーケティングのようにコンテンツで集客してリストを得る手法もリストマーケティングに含まれます。ソースでは、リストマーケティング、DRM、コンテンツマーケティングは、それぞれが重なり合う3つの円の中心にあるような関係性だと説明されています。

なぜDRMだけでは「売れない」ことがあるのか?

DRMは強力な手法ですが、常にDRMのようなアプローチばかり行っていると、いくつかの問題が生じる可能性があります。

  1. 信用低下と顧客離れ: 過去には「煽り」を推奨するようなウェブマーケティングが多く見られましたが、煽りすぎは当然ながら信用を落とし、顧客が離れていく原因となります。
  2. 長期的なマイナス: 使いどころを考えずに多用すると、信用を失ってしまい、むしろ長期的に見てマイナスになる可能性があります。
  3. 最大の落とし穴:顧客の購買タイミングとのズレ: これがソースで特に強調されている点です。消費者が商品を購入する際には、それぞれのタイミングがあります。今は必要なくても、数週間後、数ヶ月後に必要になることも珍しくありません。

DRMの「〇日間限定」のようなプロモーションは、売り手の都合によるタイミングです。しかし、もし顧客がその限定期間中にたまたま商品を「欲しい」と思っていなかった場合、たとえ将来的に買うつもりがあったとしても、その機会を逃してしまうことになります。プロモーション期間が終わってから「やっぱり欲しいな」と思っても、もう買えない、という状況が起こりうるのです。

売り手側が「また別のタイミングでプロモーションをしよう」と考えていても、それがいつになるか顧客には分かりませんし、そのプロモーションがあったとしても、顧客がメールを見逃す可能性もあります。このように、売り手のプロモーションタイミングと顧客の購買タイミングが合わないことで、本来売れるはずだった商品が売れずに機会損失となる可能性があるのです。

顧客のタイミングを捉える販売戦略:「お店を開けて待つ」という考え方

では、どうすれば顧客の購買タイミングを捉え、機会損失を防ぐことができるのでしょうか? ソースでは、**「相手のタイミングで買える状態を作っておく」**ことの重要性が述べられています。

これは、まるでスーパーマーケットのように「お店を構えて待っておく」というイメージです。スーパーは年中無休で開いており、必要な人が欲しいと思ったタイミングでトイレットペーパーや卵を買いに来ます。これと同じように、あなたのコンテンツや商品も、顧客が「欲しい!」と思ったその瞬間にいつでも購入できる状態にしておくことが重要なのです。

オンラインでこれを実現するためには、商品を陳列しておける「常設の販売場所」を持つことが有効です。例えば、オンライン講座を販売するならThinkificのようなプラットフォーム、比較的安価なコンテンツならGumroadやPayhipなどが挙げられます。Udemyなども、顧客が欲しいコンテンツを探して購入する場所として機能しています。

このような場所を持っておけば、たとえDRMプロモーションのタイミングで顧客が購入しなかったとしても、後から「やっぱり欲しい」と思った際にいつでもアクセスして購入してもらうことが可能になります。これにより、顧客の「欲しい」というタイミングと販売のタイミングが一致しやすくなり、失注を防ぐことにつながるのです。

常設販売とプロモーションを両立させる方法

「でも、常に商品をオープンにしておくと、プロモーションが打てなくなるのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、常設販売している商品でも、効果的なプロモーションを行う方法はあります。

それは、通常価格からの割引や、期間限定の特典を設けるという方法です。例えば、普段は29,800円で販売している商品を、「3日間限定で19,800円にします」といったプロモーションを行うのです。これは、スーパーのタイムセールやAmazonのキャンペーンで、通常価格のものが一時的に安くなるのと同じ考え方です。

割引や特典を設ける際は、単に価格を下げるだけでなく、「正規価格から割引されている」ことが視覚的に分かりやすい状態にすることが重要です。クーポン機能などを活用すると、割引率が明確に伝わりやすく、お得感が増します。GumroadやPayhipなど、無料から利用できてクーポン機能も付いているサービスもあるので、活用を検討してみると良いでしょう。

まとめ

DRMは強力なマーケティング手法であり、ここぞという時には非常に有効です。しかし、それに頼りすぎて、顧客の「欲しい」という購買タイミングとのズレによって機会損失を生んでいる可能性も考慮する必要があります。

長期的な視点で顧客との関係性を築き、売上機会を最大限に活かすためには、DRMのような期間限定のプロモーションだけでなく、顧客が「欲しい」と思ったらいつでも購入できる**「常設の販売場所」を準備しておくことが非常に重要**です。

そして、常設販売している商品も、期間限定の割引や特典、クーポンなどを活用することで、効果的にプロモーションを行うことが可能です。

あなたのコンテンツや商品が「売れない」と感じているなら、それは商品自体や売り方に問題があるだけでなく、顧客の購買タイミングとあなたの販売タイミングが合っていないことが原因かもしれません。DRMの強力な側面は活かしつつ、顧客の都合の良いタイミングでいつでも購入できる体制を整えることで、より多くの売上機会を掴むことができるでしょう。