AI時代に「信頼」を勝ち取る方法:増加するAIコンテンツの中で、個人ビジネスが取るべき戦略
近年、AIを活用した副業(AI副業)に関するスクール、コンテンツ、講座などが数多く登場しています。これまでコンテンツを自力で作成するのが難しかった人々にとって、AIは非常に魅力的に映るツールです。AIを活用すれば、コンテンツの制作自体をほぼ任せることが可能になるため、「AIを使って簡単に稼げますよ」という打ち出し方が、ネットで収益を上げたい人々にとって格好の「ネタ」となっています。
しかし、このAIを活用した収益化の動きは、現在のインターネット環境に大きな影響を与えつつあります。
質の低いAIコンテンツがネットを「荒らす」
AIを利用して作成したコンテンツをネット上に大量に公開し収益化を図ることは、結果としてネット上にAIコンテンツが溢れる状況を招きます。
AIで生成されるコンテンツは、基本的に質が高いとは言えず、作成できたとしても「そこそこ」のレベルに留まります。その内容はありきたりで平凡であり、似たようなものばかりになってしまう傾向があります。こうしたコンテンツが大量に増えることにより、ネット上が一種「荒れる」ような事態が起こり得ます。
AIは「有能な秘書」だが「経営者」ではない
AIそのものは強力なツールであり、使い方次第では非常に強力な武器となります。特に私たちのような一人でビジネスを行う人間にとって、AIは有能な秘書のような役割を果たし、そのポテンシャルを最大限に活かせばビジネスをさらに拡大させることも可能です。
AIは、金銭と同様に、使う人間によって結果が変わります。重要なのは、AIにやらせていいことと、やらせてはいけないことを明確に区別することです。
AIは、リサーチや情報収集、まとめといった補助的な役割、または雑用のような業務については非常に有能です。しかし、ビジネスにおいて最も根幹となる部分をAIに任せてはいけません。例えば、会社の経営権や社長職を外注しないのと同様に、自社の看板商品となるメインコンテンツの制作をAIに任せるべきではありません。
メインの商品作成をAIに任せると、それは自分自身のコンテンツですらなくなります。また、簡単に作れるからといって簡単に売れるわけではなく、質が低いコンテンツを量産することにつながります。さらに、AIに依存しすぎると、自身にスキルが身につかず、いつまで経ってもコンテンツが作れるようになりません。結果として、オリジナリティのない平凡なものとなり、自分自身のキャラクターや世界観、価値観が反映されないコンテンツになってしまうのです。
AI時代に高まる人々の「警戒心」
AI技術が今後ますます普及し、AIコンテンツがネット上で増加する状況を想定しておく必要があります。
AI生成コンテンツが溢れるようになると、人々の警戒心がより一層高まると予想されます。提供されている情報に対し「これ、AIじゃないの?」という疑念を抱いたり、実態が感じられないものに対して信頼をしなくなる傾向が強まるからです。
実際、クローン技術を悪用し、有名人の姿や声に似せた広告を作成し、詐欺を働く事例も発生しています。このような事例の拡散により、人々は他者、特にネット上の情報に対して、より一層信用しなくなる時代へと移行しています。
信頼獲得の鍵は「実態」と「アナログ」への回帰
信頼獲得が難しくなるこのAI時代において、私たちはどうすれば良いのでしょうか。
人々が信頼するのは、やはり実態のあるものです。
今後は、イラストのアイコンを使用し、声出しや顔出しをせずにテキスト媒体だけで活動するような人たちは、人々の警戒心が高まるにつれて信頼されにくくなるでしょう。それは実績の有無に関係なく起こり得ます。
海外の起業家やマーケターが、クローン技術さえ作れる時代であるにもかかわらず、未だに自ら顔出しや声出しをしてYouTubeやポッドキャストなどの発信を続けているのは、その方が信頼されるからに他なりません。
AI時代だからこそ、AIの利便性にのみ流されるのではなく、その逆、すなわちアナログな手法に回帰することが、信頼を獲得する鍵となります。
顔出しをして「この人は本人がやっている」と思ってもらうことによって、信頼してもらえる可能性が上がります。情報だけでは差別化が難しい時代だからこそ、実体を感じられるかどうかが、ビジネスにおける成功を左右する重要な要素となるのです。
